[高等部通信6月号]学園長より~可能性の扉~②-2

2017年7月10日

しかし模擬店はクラスで運営している一つの企業なので、一人ひとりが利益の追求に対して経営者としての視点を持って、役割を持たせ臨機応変に接客対応するスキルが要求されてきます。お客さんによって言葉遣いや接客サービスを柔軟に変化させたり(お年寄りや幼児などに商品の提供の仕方を工夫など)、先を見越した柔軟な対応を(仕入れの材料が不足してきたときの供給の工夫など)余儀なくされたりすることが生じてきます。一人ひとりが広い視野を持ち観察眼を働かせることがこの仕事のポイントです。簡単に言えば気を利かせることができなければなりません。
自然学園の生徒の皆さんの特性として今お話ししたことが苦手なお子様が多いことは十分わかっています。合理的配慮を会社側に要求することは、皆さんの権利ですが、仕事をするうえで利益の追求の妨げになるような配慮は認めてくれない企業が一般的です。
この折り合いをつけて、企業のニーズに適応する能力を持つことが卒業するまでのまたは企業に就職するまでの皆さんの課題になります。

 藤まつりをご見学されているお客様に高等部の生徒は3年生がバナナシェイクと2年生がチョコレートパフェを販売しましたが、すべて予定した数は完売し、生徒の皆さんも満足そうでした。何よりも列をなして並んでもらい、おいしそうにほほを膨らませながらパフェに舌鼓を打つ子どもたちの姿に、感動を覚えた生徒は少なくないでしょう。自分たちで提供したものを喜んでもらえて、お金をいただくことができるやりがいを感じてくれることが、働くことを理解するキャリア教育の意義だと思っています。生徒が協力しながらびっくりするぐらいの売り上げを挙げることができました。売り上げの一部を『ふるさとかすかべ応援寄附金』として寄付する予定です。

新学期も早いもので2か月が過ぎようとしています。新年度、各学年の時間割は、一人ひとりの将来的な自立を考えた実践的なカリキュラムを導入しています。卒業後の就労を視野に入れたキャリア学習を1年生から計画的に導入することで、漠然としていた仕事に対するイメージがより身近に感じられるようになります。

そして2年生からの時間割では、選択教科で作業実習や事務実習など、実際の企業で要求される封入、発送作業、ファイル管理、スキャニング、印刷、PCの活用も含めた事務スキルや清掃、棚卸、仕分け、選別等の作業実習の修得を行います。社会に参加するうえで敬語や正しい言葉づかいは必ず必要になることです。そして特例子会社であっても業務依頼や指示に対する正確な返答やある程度のコミュニケーションスキルは必要不可欠な、勤務するうえでの条件として提示されてくるでしょう。イレギュラーな問題事項やアクシデントが生じた場合に、あわてずに、的確な伝達ルートに従って情報を責任ある立場の職員に正確かつ迅速に報告することができ、柔軟な発想力で問題から生じる被害を最小限度に収め、未然に防ぐことができる対応力を養うSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)を高等部のカリキュラムに導入しています。

企業の就労実習やそれに基づく事前指導や実習報告会などを計画的に取り入れ、企業に要求されるスキルが体験を通して理解でき、行動として実践する意識がもてる動機づけを1年生から取り入れています。今回の藤まつりの模擬店や学園祭での模擬店の出店は自然学園が実践しているキャリア教育の一部です。

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