[高等部通信6月号]学園長より~可能性の扉~③-2

2017年7月18日

教科学習のつまずきにおいては、「先生の説明が、早口で何を言っているのかわからない。」「黒板に書くことが多く書くスピードも速いので、ノートに書きれず中学校の先生と違って待ってくれない。」など授業について行けず個々の配慮がないことを理由に挙げる生徒が、最も多いように思われます。次に学習内容が急に難しくなりすぎて対応できないことを挙げています。視覚的な認知の弱さがある生徒(読字的、書字的)は、ノートや教科書だけを頼りに予習、復習をしていかないと理解できない高等学校の授業にあっぷあっぷしているようです。試験を控えている生徒は、追い詰められたような喪失感を抱き、自信を無くしている生徒が多いように思います。

このような学習面でのつまずきに対して高校の場合は自分で克服する以外道がないのです。個々の配慮がない高等学校ではこのことが学習性無気力の状況を引き起し、すでに居場所をなくしている生徒が少なくありません。
 
 自然学園がお預かりしている子どもたちは、学習に必要としているすべての力が弱い知的なつまずきがある訳ではありません。
子どもたちのそれぞれの得意な認知の仕方に気づかせ(または認知しやすい環境を提供し)、苦手である認知のつまずきを補うことで必ず学習成果が出てくのです。

学習性無気力の状態とは、漢字の習得ができないと一方的に叱責されたり、できないことを無理やりやらされたりして、その外的苦痛から逃れることができないときに生まれる未学習です。未学習とは苦手なことから意識的、無意識的に逃れようとして、経験し習得しなければいけない学習を身に付けることのできない状況を指します。

彼らのモチベーションを上げることは、「できた、できた、やればできた、ほめられた」という経験こそが、やる気や意欲につながり、苦手だった課題が対処すべき課題になり、学校生活の意欲にもつながっています。

自然学園は第一にアセスメントを重視していることは、すべてこのような状態から彼らを立ちなおらせる唯一の術がその結果に隠されているからなのです。
 おかげさまで新入生において登校できない生徒の報告はありません。全員が元気に登校出来ているようです。

学年が上がり高校3年生になってくるとクラスの子どもたちの話題も就職や大学受験にシフトして大学の推薦基準やAO入試、推薦入試の話題や予備校での模擬試験や個々の成績の話題または体験就労実習の話題が多くなってきます。ホームルームでも進路についての担任の先生の話を頻繁に聞くことが多くなります。もちろん家庭でも食卓でも進路の話題が上ってくるでしょう。

LD傾向が伴う発達障害の子どもたちは、学力不振の悩みを抱えているので精神的な負担や焦りが大きくなってきます。強迫観念的な気持ちが心の中を支配するようになってきます。それに追い打ちをかけられるようにレポートなどの学習課題、宿題に費やされる時間や放課後の予備校、試験勉強など割かれる時間が多くなると精神的にもゆとりがなくなり、余計に不安定な気持ちに拍車がかかってきます。

これから自然学園で2年生を対象にした進路説明会や3年生を対象にした進路にむけた個別面談を予定しています。お子様方が保護者の方々の期待の大きさや進路の不安により精神的に不安定にならないようにご家庭でも注意を払っていただければと思っています。

自然学園のスタッフが一丸となり、現在の一番注意を要する時期を乗り越えていく所存です。これからもご協力お願い申し上げます。

自然学園学園長 小林 浩

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