[高等部通信6月号]学園長より~可能性の扉~⑤

2018年8月7日

 5、高等部2,3年生の保護者を対象にした進路説明会
 6月12日(火)に高校2年生、6月15日(金)に高校3年生の進路説明会がありました。進路説明会では、卒業後の進路についての説明会で生徒の主な進路先、就職や20歳以上からの障害年金に伴う手帳取得についてのお話をさせていただきました。3年生の保護者の皆様には私から就職についての話を発達障害のお子様の現状も踏まえてさせてもらいました。私がいくつかの企業の採用担当者と話すうえで共通して話題に上ることは 障害者雇用率が平成30年4月から現行の2%から2.2%に引き上げられ、平成33年4月までにはさらに0.1%引き上げられ2.3%になることでその採用人数を充足することが各企業の第一の課題であることを明確にしていることです。今年からは厚生労働省は改善がされない企業には企業名を公表すると言っているので、従業員の数が多い企業ほどこの気持ちは強いようです。私はこのことが背景になり軽度の療育手帳取得者や精神手帳取得者、おもに発達障害者を含む情緒の障害を持っている人たちの雇用が売り手市場になるように思っています。
 
私が定着支援などで企業を訪問して職場を見学させていただいたときに思ったこととして、採用した一人ひとりの仕事のスキルや適性にあった作業や業務の配慮があることは最近特に顕著です。
どの企業も従業員の定着をめざしていることは強く理解できます。それを前提に企業が望むことは、障害に対するセルフマネージメント力です。合理的配慮として企業が用意してくれている環境や時間をうまく生かすことは、個人の能力であるとの考えです。それには最低限度コミュニケーション力は必要になります。そして会社の決められた時間やルールに従い、他者に迷惑かけず組織の中でのグループワークができることを条件に挙げているように思います。企業にとって自閉症やADHD、LD、精神遅滞などの診断名は問題になりません。与えられた作業が消化できれば、知的な問題での仕事の質や作業効率より職場での安定感が何よりも大切なことのです。

発達障害の人たちは勉強ができ、運動が人よりできる人もいます。それはよりレベルの高い仕事をこなせる能力に結びつきますが、作業効率がそれほど問題にされない特例子会社などはむしろ正確性や他者との連動性のスキルに重きを置くでしょう。そのことを理解してこれからの実習に向わないと採用してくれる企業はありません。
 
そこをもう一度考えて残りの高校生活で高等部の皆さんの障害特性である情緒の混乱や不安によるパニック、自分が不利な立場になったときや怒られた時に出る批判的な言動を少しでも改善する努力が、就職に対してよい結果につながることになるはずです。自然学園は企業の連携も含めて全力でお子様の支援をさせていただきます。
以上のような内容のお話をさせていただきました。

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