[高等部通信6月号]学園長より~可能性の扉~1

2020年6月18日

1、はじめに

アジアをはじめとして新型コロナウイルス感染拡大の収束が見えてきたようです。欧米にしても感染者は収束の方向に向かっていて、経済活動を再開する地域も見られるようになってきました。日本は5月末までの緊急事態宣言の延長が決定しましたが、確実に感染者は収束に向かい始めているように思います。まだまだ油断は禁物ですが、生徒の皆様や保護者の皆様のご健康をお祈りしています。

 

公立小中学校では現在、段階的な開校を目指しています。子どもたちも家庭での待機に限界を感じているように思えます。特に小学生は家庭学習課題の消化や学習動画の視聴では、学習は思うように進むはずがありません。クラスメートとの交流がなければストレスが溜まる一方です。とくに発達障害傾向のお子様の場合は、5月号でご紹介したように、外に出られない環境で生活リズムが乱れ不安が強くなって、情緒が混乱してしまうケースがあるので心配しています。3月からの休業要請で小学校、中学校のみならず保育園や幼稚園まで休園が続き、保護者の皆様の負担は非常に大きくなっています。

 

「学校が休校となり子どもたちが自宅で過ごすとともに、リモートワークの広がりにより大人も在宅するケースが増えている。そんな中、以前からあったDVや虐待の問題がさらに深刻化している」こんな報道を目にする機会が最近増えています。

 

4月25日の東京新聞の夕刊に『(新型コロナ)発達障害児、窮地 在宅でリズム崩し自傷 親もストレス懸念』という見出しで発達障害の子供を育てる親が心身ともに追い詰められている現状を紹介していました。情緒不安定傾向のお子様は一時預かりもデイサービスも断られ、母親が付きっきりで面倒を見るケースが多く、お子様の中には自傷行為を繰り返す子も出てきていて親子とも追い詰められている現状を伝えています。「休校で給食当番など集団生活のルールを学ぶ機会を失われている」「学校で学べる社会性や集団行動が身に付けられず、とても心配」などの保護者の声が高まっているようです。

 

6月号では、親などの特定の養育者との愛着形成がうまくいかないことで現れる困難の総称である愛着障害について触れたいと思っています。 愛着障害については医学・心理学で様々な考え方があり、定まった定義などがない状況です。 しかし、何らかの対人関係や社会性に困難がある大人の中には、その原因が愛着形成に問題があるのではないかと考える人も少なくないようです。

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