[高等部通信7月号]学園長より~可能性の扉~1

2021年8月3日

1、はじめに

7月に入り新型コロナウイルスワクチン接種の供給量が予定の約6割に留まっているなどのニュースが報道され、東京都の感染者も1000人を超える状況になってきました。7月12日から緊急事態宣言が再び発令され、デルタ株による50代40代の感染拡大のリスクが危惧される中、東京オリンピックは、多くの都道府県で無観客の開催が決定しました。アスリートの勇姿に世界中が励まされ、活力を取り戻すきっかけになる大会になることを強く祈念しています。

高等部の説明会などを通じて中学生のお悩みをお聞きする機会がありますが、コロナ過で学校に行くことができない、行きたくない気持ちが強くなって悩んでいる子どもたちが昨年に引き続き多いようです。さらに今年と昨年の5月の連休明けから梅雨の時期を比べると、今年の方が多いように感じています。文科省が令和2年の11月に発表した「令和元年児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」の統計では「無気力・不安」が39.9%。「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が15.1%、「親子の関わり方」が10.2%になっています。「無気力・不安」の内訳として学校での人間関係や学力不振、クラスや学校の雰囲気になじめない、生活習慣等の問題点が挙げられています。昨年の休校中に生活のリズムが崩れ、配信や家庭での課題学習に対する悩みをきっかけに「無気力・不安」が強くなり鬱の状態の生徒が増加しているとの報道がありましたが、現在でも学校生活に対するストレスを感じ、精神的なバランスを崩している生徒が多い中、クラスに居場所がなく、学校の雰囲気になじめない生徒が目立ってきました。その中には校則を負担に感じていたり、特定の人間関係や担任との関係に負担を感じていたりする人たちも少なくないのです。

 発達のつまずきがあり、認知面でも「読む」「書く」「聞く」などの苦手さがあるお子様は一方的な配信の授業は理解しづらく、問題集やプリント学習も負担が大きいのです。こだわりが強い生徒はわからない箇所にぶつかるとそこから先には進めません。自己肯定感が低い生徒は自分だけがわからないことに焦燥感を募らせます。集中力や持続力がない子どもは、ゲーム機器などが散乱している家庭では学習に取り組むことができません。夜もゲームをやめられず、朝も起きられず生活習慣が乱れてくるでしょう。当然家庭で怒られることも多くなるのでそのイライラは極限まで到達することは予想に難くありません。
そこから生まれる投げやりな無気力さや不安が不登校に繋がると考えられます。この状況に適応障害や他の要因が重なれば目を覆うような事態が起こることは、特別支援教育を必要としている生徒にとって決して無関係ではありません。

高等部の生徒の皆さんは安定して登校されているお子様がほとんどですが、これから夏休みに入ると、生活習慣に対する注意は必要になります。保護者の皆様にもお子様の夏休み中の日常生活には充分気を配っていただき、もし先述のような状況を感じたらすぐにご相談ください。

お問い合わせはこちら