[高等部通信7月号]学園長より~可能性の扉~5

2020年8月6日

5、高等部2,3年生の保護者を対象にした進路説明会

6月9日(火)に高校3年生、6月16日(火)に高校2年生の生徒・保護者を対象に、卒業後の進路についての説明会を行いました。私から就職についての話を発達障害のお子様の現状も踏まえてさせてもらいました。

私がいくつかの企業の採用担当者と話すうえで共通して話題に上ることは、障害者雇用率が平成30年4月から2%から2.2%に引き上げられ、令和3年4月までにはさらに0.1%引き上げられ2.3%になることで、その採用人数を充足することが各企業の第一の課題であることを明確にしていることです。

今年からは厚生労働省は改善がされない企業には企業名を公表すると言っているので従業員の数が多い企業ほどこの気持ちは強いようです。

私はこのことが背景になり軽度の療育手帳取得者や精神手帳取得者、おもに発達障害者を含む情緒の障害を持っている人たちの雇用が売り手市場になるように思っています。

そしてこの動きの中には大手の名だたる企業が今まで以上に法定雇用率の充足に力を入れていて、プロジェクトの一つとして積極的な採用をすすめている現状があります。採用したい人材の発掘にも各社、努力が見られ、障害者雇用は必ず体験就労が義務づけられていますが、その中身には、一般就労で現在当たり前のように取り入れられているグループディスカッションに相当するグループワークを導入し、リーダーシップ、実行力、発言力、アイディア・企画力およびコミュニケーション力や協調性などのスキルを基準として、個々の能力を見られます。少しでも能力の高い職員の採用を障害者就労においても採用の目標に掲げているのです。

私が定着支援などで企業を訪問して職場を見学させていただいたときに思ったこととして、採用した一人ひとりの仕事のスキルや適性にあった作業や業務の配慮があることは最近特に顕著です。どの企業も従業員の定着をめざしていることは強く理解できます。

それを前提に企業が望むことは、障害に対するセルフマネジメント力です。合理的配慮として企業が用意してくれている環境や時間をうまく生かすことは個人の能力であるとの考えです。

それには最低限度コミュニケーション力は必要になります。そして会社の決められた時間やルールに従い、他者に迷惑をかけず組織の中でのグループワークができることを条件に挙げているように思います。

企業にとって自閉症やADHD、LD、精神遅滞などの診断名は問題になりません。与えられた作業が消化できれば、知的な問題での仕事の質や作業効率より職場での安定感が何よりも大切なことなのです。

発達障害の人たちは勉強ができ、運動が人よりできる人もいます。それによりレベルの高い仕事をこなせる能力に結びつきますが、作業効率がそれほど問題にされない特例子会社などはむしろ正確性や他者との連動性のスキルに重きを置くでしょう。そのことを理解してこれからの実習に向わないと採用してくれる企業はありません。

そこをもう一度考えて残りの高校生活で高等部の皆さんの障害特性である情緒の混乱や不安によるパニック、自分が不利な立場になったときや怒られた時に出る批判的な言動を少しでも改善する努力が、就職に対してよい結果につながることになるはずです。

自然学園は企業の連携も含めて全力でお子様の支援をさせていただきます。私が実習での付添いや定着支援で見た現場の状況を事例として挙げながら、以上のような内容のお話をさせていただきました。

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