高等部通信9月号 ◎学園長より ~可能性の扉~-2

2023年10月9日

2、第15回自然学園 思いやり収穫祭のご案内

今回で15回目となる自然学園の学園祭である『思いやり収穫祭』を11月4日(土)、11月5日(日)に行います。学園祭も、自然学園の秋を彩る一大行事として定着してきました。今回の『思いやり収穫祭』も昨年同様感染拡大で開催が危惧されましたが、現在、収束にむかっているコロナ禍での状況を踏まえ例年に近い形での開催を考えています。

今年の『思いやり収穫祭』のテーマは『声援』にしました。
 
 今年はWBCの優勝からはじまり、NBAのレイカーズ八村塁選手の活躍、MLBでの大谷翔平選手をはじめとして日本人選手の活躍や世界陸上、先日のFIBAワールドカップバスケットボールの日本のパリ五輪出場権獲得での奮闘や、高校野球の甲子園大会やサッカーキリンチャレンジカップの日本代表のドイツ戦、トルコ戦の勝利、現在開催中のラグビーワールドカップなど、日本人の活躍でこれほど日本人が励まされている年はないのではないかと思います。ロシアとウクライナの戦争にいまだに終戦の兆しさえ見えない状況や円安、インフレなど世の中の閉塞感が強まっている中、彼らの活躍に勇気をもらい、ネットやテレビを見ながら大声で声援を送っている人が多いと思います。 

また、今年から声出し応援が解禁になった競技場など、スタジアムに直接足を運んで思いきり声を張り上げて声援を送る人の姿も見かけるようになりました。大声援の中、その声援に応えるように死力を尽くして戦い抜いている選手の姿に日本全体が勇気をもらっています。

 足掛け4年もの間マスク着用が義務づけられ、大きな声を出す機会も失われてきました。自分の感情を相手に伝えることの大切さを忘れかけていた4年間でした。大きな声援でスタジアム全体が自分の応援しているチームの勝利を信じて心を一つにする様は非常に素晴らしいものです。観客席でも選手と同じような気持ちで戦っている熱い気持ちになれます。その気持ちが生きるための前向きなパワーとなることに改めて気付かされた年でした。

今、世の中は「」や「」などの活字を毎日のようにネットや新聞の報道で目や耳にします。自分の欲望や金銭欲が横行し、権力など大きな力の前で正義や人権のために自分の思いを口にすることや感情を表現することさえできないことは、皆さんに教育を通して伝えたいこととはかけ離れている思いです。自分の思いを素直に口に出し、表現し、頑張っている人にエールを送りましょう。そのような思いを込めて今回のテーマを『声援』にしました。『声援』は、ソーシャルスキルとして喜怒哀楽の感情を他人と共有できる共感スキルを育てることに効果があり、感情表現を豊かにするSSTに直結します。

『思いやり収穫祭』は小・中学部、高等部、大学部もすべて参加する大きなイベントとなっております。小・中学部、高等部、大学部は、「クラスの協力を第一に自分の適性を生かしながらクラスに貢献し、不得意なところは互いに補い合うこと」、「クラスの一人ひとりの子どもたちに気を配り、互いに敬意を払い、認め合うこと」。これらのことを、学園祭を実行するうえでの目標におくことを教職員の先生方にお願いしました。

人の生きがいや喜びは一人では得られないことです。他者と協力し、気持ちを分かち合うことで生まれてくるものです。小学部から大学部の学生まで、在籍生の皆さん一人ひとりが異なった個性や能力的な凸凹を受け入れて、それぞれ異なった苦手さを持っている人たちが互いに認め合い、大きな『声援』を出しながら、皆さんの心が一つになることができたとき、『声援』というテーマの目標を達成できたことになります。

11月4日(土)は、春日部市中央公民館1階講堂にて、午前11時40分より、全学部生による音楽祭を予定しております。昨年から新型コロナの感染の対策に十分気を付けながらも、歌、合唱、管楽器等の演奏等、すべてを可としました。今年も例年通りのプログラムで実施します。小学部・中学部・高等部・大学部の在籍生によるクラス、および学部ごとにパフォーマンスを発表し合い、クラスごとのチームワーク、そして「人を愛すること、思いやること」の感情が「協調」、「協働」の一つの表現として演出できるかが見どころとなるでしょう。他者をあまり意識することがなかった在籍生徒の皆さんが、クラスメートの動きをよく見ながら、自分の役割をしっかり努め、クラスの思いを観客に伝えるために一生懸命演じる姿こそ、自然学園が教育目標に掲げるソーシャルスキルです。SSTの一環として取り組んでいる授業の実践をチームワークとして感じ取っていただければ嬉しいです。当日は、在籍生徒のダンスなど素晴らしいパフォーマンスをお見せすることができると思います。

11月5日(日)は、自然学園の生徒たちによる模擬店がひらかれ、美術作品の展示をはじめ、ゲームや食品販売なども予定しております。自分たちにできる範囲の中で、クラスのみんなでアイディアを出し、「おもてなし」の心で、来てくださるお客さんを楽しませるための工夫をして、今一生懸命その準備に取り掛かろうとしています。生徒の皆さんが、工夫を凝らして実施する模擬店は今まで以上に皆さんのアイディア、話し合い、チームワークといった高いグループワークが求められるでしょう。だからこそ、自然学園の生徒の皆さんの絆がさらに強いものになり、今までにない盛り上がりを見せてくれるはずです。今回の『思いやり収穫祭』は深く皆さんの胸に残る、忘れられない思い出となることでしょう。

例年好評である『思いやり収穫祭』の特別企画である「卒業生特別座談会『僕たちの未来』」はパネルディスカッション形式で自然学園を卒業したOB・OGに今現在の自分のこと、今取り組んでいることや仕事のこと、職場での人間関係のことなどを話してもらう企画です。自然学園の思い出や学校生活のことなどにも触れながら、人生のターニングポイントや自分自身のこれからの夢などについて語り合います。自然学園が開校してから18年目を迎え、高等部や大学部の就職においても、卒業生の皆さんの頑張りで多くの人たちが社会に巣立つことができています。

 学園祭プログラムは、生徒を通じて事前にお渡しいたします。万障お繰り合わせの上、ご家族お揃いでご来校くださるようお願い申し上げます。

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