[高等部通信9月号]学園長より~可能性の扉~⑤-1

2017年10月27日

5、発達障害におけるキャリア教育と高等学校における通級制度化
全日制と定時制、通信制のいずれの課程でも、読み書き困難や言語障害などのある小中学生を対象とする「通級指導」の制度化を高校に導入することを検討してきた文部科学省の専門家会議は、「高等学校における通級による指導の制度化及び充実方策について」(高等学校における特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議報告)の報告書で、平成30年度の運用開始におけるロードマップを公表しました。
通級指導は、通常学級に在籍する児童・生徒が原則週1~8コマ、障害に応じた補充指導などを別室で受ける制度で、平成5年度に小中学校で制度化され、対象者が18年度に学習障害(LD)などに拡大されて急増しました。報告書では、中卒者のほとんどが高校に進学する中、高校を「自立に向けた準備期間を提供できる最後の教育機関」と位置付けた上で、中学で通級指導を受けた生徒が高校でも指導を必要とする可能性があることから、高校の対象者を小中学校と同じとしています。
以前からブログでもお話しさせていただいている通り、医療機関でLDやADHD、自閉症スペクトラム障害の診断を受けたお子様方や通常学級や特別支援学級の情緒でまだ診断を受けていないお子様方も含めて、診断を受けたとしても療育手帳が取得できずにいるお子様方がたくさんいます。発達障害を心配するお子様の保護者には、お子様の将来の就労を心配するあまり無理をして療育手帳を取得して特別支援学校の職業科の受験をお考えになっている方々も少なくないでしょう。そんな状況から発達障害がある生徒の高等学校への進学に関しては、今までほとんどと言っていいほど特別支援教育がすすめられていなかった状況を考えると、明るい情報なのではないでしょうか。東京都が制度化を進めている状況を踏まえると、いずれ近いうちに他県でも制度化されることは間違いないと思っています。そうかといって特別支援教育の導入と同じように、すぐに一人ひとりのニーズにあった支援には時間がかかるものと思えます。ましてや、自然学園が創立以来取り組んでいる発達障害があるお子様の自立に向けた就労支援がすぐに実現できるとは思えません。

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