高等部: 4月号学園長ブログ-2

2024年4月24日

2、心の問題と不登校の関連性

2022年度、文科省で発表された約30万人の不登校者数の増加が示すように、コロナ禍での不規則な時間割変更はお子様にとって負担が大きく、そのことが不登校に結び付く一つのきっかけになっているように思います。認知の能力に凸凹が生じているお子様には、配信やリモートなどのPCを介しての一方的な配信からの多くの情報を整理して短期に記憶し、処理するのはハードルが高すぎると感じます。このような苦手さ、困難さは「できないこと」をより露呈させて多くのストレスが彼らにのしかかります。そのストレスは当然彼らの不安につながりその不安は情緒の混乱を引き起こします。人間関係に関しても、急な予定変更などに対して彼らの「できないこと」が露呈すれば「いじり」「からかい」の対象になり、いじめや人間関係のトラブルにつながる可能性を秘めることになります。人の気持ちが理解できない特性も、マスク越しの会話ではよりそのことに拍車をかけることになります。自閉症のお子様によく言われる「心の理論」はコロナ禍ではより大きな足枷になって彼らに襲い掛かります。言葉のやり取りも普段の生活より短いことばのやり取りになるので、SNSの言語と同様、発信が短く言葉数が少なければ少ないほど意味の読み違いや勘違いが生じ、発した言葉の言葉尻を捕らえられて批判の的になる可能性が大きくなります。

文科省が2023年10月に発表した小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は681,948件(前年度615,351件)で、前年度に比べ66,597件(10.8%)増加しました。児童生徒1,000人当たりの認知件数は53.3件(前年度47.7件)。年度末時点でのいじめの解消状況は、525,773件(77,1%)(前年度493,154件(80.1%))。いじめの重大事態の件数は923件(前年度706件)で、前年度に比べ217件(30.7%)増加し、過去最多となりました。小・中・高等学校から報告のあった自殺した児童生徒数は411人(前年度368人)でした。不登校数においても2022年度の不登校の小中学生は29万9048人で過去最多。小学生10万5112人(前年度比2万3614人増)、中学生19万3936人(前年度比3万494人増)です。どちらも10年連続の増加で、不登校の小中学生数は30万人に迫っています。小学生の不登校は10年前(平成24年度)の約5倍、中学生は約2倍に増加しました。

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