高等部: 4月号学園長ブログ-3

2024年4月26日

3、発達障害があると言われる子どもたちにみられる症状

「言葉が出ない」「目線が合わない」等のつまずきから露呈し始めて、年齢が上がるごとにコミュニケーションやルールを守ることなど人間関係に関連する社会性の問題がクローズアップされていき、集団での生活で生きづらさを感じることが多くなります。ことあるごとに問題行動と言われることが多くなるのです。

周りとの関わりが少なければ問題行動と言われるトラブルは起こりにくい子どもたちなのです。お子様自身の行動に大きな問題があるわけではなく、お子様が置かれた環境に適応できないことで、その行動が周りから見ると、お子様の言動に問題があると感じてしまうだけなのです。逆に言うと、そのような環境にいなければ問題行動は起こらないのです。

例えば、発達障害があるお子様は、幼い頃から落ち着きのなさや衝動性による暴力行為や暴言などが幼稚園や保育園に入園し集団生活が始まると目立ち始めます。すると、周りの子どもたちとのトラブルが多くなり、そのことが問題行動として指摘されるようになります。順番待ちができないなどのルールが守れないなどの特性は「社会性」の問題として彼らがずっと自分自身の特性として抱えながら大人になる上でどこかでその特性と折り合いをつけて社会参加を実現しなければいけない、彼らが生涯をかけて克服しなければいけない課題になります。どの生徒の皆さんも、その特性を自覚して注意することで社会適応は可能になると実感しています。生活する場面で時折見られる衝動的な問題行動をその都度怒り、強制的に問題解決を図ろうとしても、問題行動が無くなるどころか、逆に怒られることからくる自己肯定感の低さや誤学習は発達の歪みになります。そして、社会性の問題やコミュニケーションの問題をより深刻化させていくでしょう。その特性からくる問題行動がこじれて発達の歪みを生じる可能性を減らすことが重要です。

先生によっては目に映る状況に反応して厳しく怒る人もいます。また日頃から目にするいくつかの子どもたちの状況で「この子はこういう子」だとラベリングして差別的な指導をする先生も少なくありません。大人の発達障害傾向の人は先生にもいて、自分の判断基準で「この子はこうだ」と決めつけ、よく状況を掌握しないで口うるさくあらゆる場面で気になった生徒を注意する先生もいます。このような間違った対応をされながら成長したお子様には、必ず発達の歪みが生じてきます。人格障害などの発達の歪みなどは、遺伝子的な要因と同様に環境的な要因があるとされていて、学校生活や家庭での環境の問題も指摘されています。

発達の歪みは自己肯定感を低下させ、その結果自尊感情の芽生えが遅れてしまいます。お子様の心の成長はご家庭と学校が大きく関与しています。お子様がご家庭で安心感、安全感が感じられない状況は愛着障害につながり、社会性や自分で規範を作って衝動を抑制する心の成長が歪んでしまいます。そうなると、問題行動等、社会不適応を起こす引き金になるでしょう。また大人への反抗につながることも避けられないでしょう。

また、小学校や中学校で、発達障害の特性からできないことが目立つようになり、できないことに対して評価されることが続けば自己肯定感が低くなり、無気力さが強くなり、クラスメートとの関係も遠ざけるようになるでしょう。彼等にとって学校に居場所が無い状況になります。そんな環境では学習やソーシャルスキルは育まれないでしょう。思春期での発達の歪みは、不登校や反抗挑戦性障害などの2次的なつまずきに結び付き、他者との摩擦が強くなるでしょう。

子どもたちができないと判断されることの多くは認知発達の凸凹に関係していて、他の人には見えないつまずきになっているのです。そのつまずきが理解できれば、その困難さに手を差し伸べることは容易になります。そのお子様にあった認知の特性をうまく利用した導き方が一人ひとり見つかるはずなのです。自然学園高等部では、認知のつまずきによる一人ひとりの読む・書く・聞く・話す・計算推論の苦手さを受け止めてあげながら、「できた」「解けた」「書けた」「覚えられた」といった学習における達成感を感じることができる授業を展開していくつもりです。

そして、今まで居場所がなくて苦手だった学校やクラスを安心して過ごせる、自分を必要としてくれる信頼できる仲間がいる場所であり、充実した時間を過ごせるかけがえのない空間にしてあげたいと思っています。

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