高等部: 4月号学園長ブログ-6

2024年5月7日

6、発達障害があるお子様の学習意欲を上げるためには
 
知的には目立った問題がないこのような子どもたちが勉強につまずく学年は、小学校3年生くらいからなのは、教科書の内容もありますが、国語の文章も含めて教科書に書かれている文章量や語彙も含めた文章構成に複雑さが出てくるからです。他の教科も例外ではありません。
 
授業に関してもこのように「読む、書く」の困難さを持ち合わせている人や講義形式で大勢の人に向かって話されている先生の話を聞くことの困難さを持ち合わせている人は、継次処理が求められる講義形式の授業の参加自体に苦手さがあるのです。この場合、物事を分かりやすく、聴覚的な手がかりや視覚的な手がかりを取り入れながら順序を踏まえて伝えることで理解に結び付きます。この処理を応用した発展的なクラスでの授業形式は継次処理的なアプローチと言えると思います。継次処理は上記のようなつまずきを持った子どもたちには学年が上がり授業レベルが上がると自分の力だけでは処理できなくなります。

そのことのSOSが落ち着きのなさや離席、おしゃべりなどの多動性、衝動性になって表れてきます。しかし、そのSOSを授業妨害として先生に厳しく注意されることで学習意欲を喪失してしまうのです。発達障害傾向の子どもたちは、一度やる気を失うとなかなか元に戻りません。そしてクラスに居場所を無くし、自己肯定感も低くなってしまいます。学習性無気力の子どもたちや、情緒が混乱して不安を抱えている子どもたちの原因の一つにはこのようなこともあるのです。子どもたちが再びやる気を出すには、見えない彼らの学習のつまずきに気付き、学習におけるつまずきのある子どもの得意な「わかり方」を大人が把握することが大切だと思います。教える側の大人が、子どもたちの「なぜ分からないのか」を理解できれば、理解できるような教え方や教材、プリントなどを利用した授業、つまり彼らのつまずきに合った学習課題を提供することができます。そのような指導が実行できれば必ず興味を持って取り組むことができるようになるでしょう。その中で、できることが少しずつ増えていくはずです。子どもが学ぶ楽しさや達成感をたくさん経験することが大切になります。

そして最後は、親や教員が勉強を押し付けるのではなく、子どもが自分に合った「学び方」を身につけて自分の意志で主体的に学習する習慣をつけることが、子どもたちの学習意欲を上げる唯一の近道なのです。そしてこのことは、自分で判断し、自分の意志でやってはいけないことややるべきこと、物事の善悪を判断できる大人に成長することへと繋がっていくのです。

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