高等部:1月号学園長ブログ(新春特別編集号)-5

2024年1月23日

5、「2022年度不登校最新文科省統計(2023年10月発表)」について

文部科学省が公表した、昨年度、全国の小中学校で30日以上欠席した不登校の児童・生徒の数はおよそ29万9000人。これは35人学級の場合、1クラスあたりに1人、不登校の子どもがいるということになります。10年連続で過去最多を更新しました。ここ10年間で小学生は約4倍、中学生は約2倍に増えています。そして、この2年間で約10万人不登校生が増えているのです。

いじめの認知件数は、小中高・特別支援学校で前年度比10.8%増の68万1,948件で過去最多となりました。児童生徒1,000人あたりの認知件数は53.3件(前年度47.7件)。重大事態となったいじめ件数は923件(前年度706件)で、前年度に比べ217件(30.7%)増加しています。小中高校から報告のあった、自殺した児童生徒数は411人(前年度368人)。調査開始以来過去最多であった2020年度より2021年度は減少したものの、2022年度は再び増加に転じました。また、小中高校における暴力行為の発生件数は9万5,426件で前年度から1万8,985件(24.8%)増加しています。

文部科学省は、「新型コロナによる環境の変化が子供たちの行動にも大きな影響を与えている」ことや「学校生活でのさまざまな制限で交友関係が築きにくくなったことなどが背景にある」と分析しています。学校行事やクラブ活動の再開で、子どもたち同士の接触の機会が増えたことも一因であると言われています。いじめのみならず、暴力件数の増加も見過ごすことができない大きな事案だと思います。いじめの内容としては小・中・高校生とも「冷やかし、悪口、脅し文句、嫌なことを言われる」が最も多く、小学生、中学生は「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする」が次に多く、高校生は「パソコンやスマホでの誹謗中傷」が次に来ています。

私は不登校やいじめのこのような統計を見ると、通常級に通う特別支援教育が必要な8.8%の生徒との関連性を考えてしまいます。ソーシャルスキルと言われる社会的なスキルは集団の中で育まれるもので、クラスに居場所があって初めて、他者と繋がるスキルが生まれます。他者との絆はその関わりから築かれるものです。他者とのコミュニケーションに苦手さや特性がある子どもたちは不安が強くなり、コロナ禍でクラスや部活で他者との関わりが希薄になってくると、ソーシャルスキルを育む機会がないため、余計に人間関係での緊張や不安が強くなり、コミュニケーションがうまく取れないことから人間関係のトラブルやいじめに発展しやすくなるのではないかと思います。暴言や暴力などに直結する衝動性や、人の気持ちを理解できない「心の理論」は発達障害傾向の子どもたちの特性でもあります。

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