高等部:1月号学園長ブログ(新春特別編集号)-6-2

2024年1月26日

6、発達障害がある生徒の勉強に関するつまずきについて(2)

(2)発達のつまずきがあるお子様のワーキングメモリに関する具体的な支援
もともと記憶とは、20分後に42%、1時間後は56%、9時間後は64%、6日後は76%の割合で忘却してしまいます。忘却を食い止める方法は、一定時間過ぎた後に繰り返し復習するしかないとされています。学習したその日の夜、1日後、3日後、1週後と定期的に繰り返して復習することが不可欠です。その学習を負荷なく、楽しく行うには、彼らのワーキングメモリのつまずきを把握し理解したうえで、彼らが学習しやすい環境や勉強の仕方を提示しなければなりません。そうしてこそ継続して勉強に取り組んでもらえるようになるのです。

そしてその結果、短期記憶が長期記憶に移行され、学習で身に付けた知識の幅が広がっていきます。できたことを褒めて認めてあげれば自分に自信が持てるようになります。褒められることを嫌うお子様はいないと思います。今まで、自分では一生懸命にやっているつもりでも、出来ないことや間違えることが多く、怒られたり馬鹿にされたり蔑まされたり、健常のお子様が経験したことのない思いをずっと重ねているお子様方が高等部に在籍している子どもたちなのです。

一生懸命取り組んでも認められないのなら、やってもしょうがないと諦めるのは大人だって同じです。ましてや、非常に強いストレスや劣等感を持ちながら他の選択肢が与えられないのであるならば、そこから逃げたくなるのは十分理解できることだと思います。情緒の混乱や、無気力で不登校になる生徒の原因として学力不振が上位に上がりますが、自分に自信が待てなくなれば学習意欲がなくなります。学習性無気力になる状況が、学力不振になる一番の原因であると私は思っています。だからこそ、自信をつけさせていくことが大切です。苦手だと思うことに自信をもたせて自己肯定感を回復させていくことが、学力が向上する大きな要因になると思います。そして、今すぐ学校のクラスメイトと同じような問題を解けるようにするのではなく、そこに結びつく基礎的な内容からクリアしていくことが大切です。「できる」と思えることは努力することが可能で、できなかったことができるようになれば、次の目標が見えてくるものです。できないまま不安が大きくなり、気持ちばかりが焦り、どこから勉強してよいのか分からない暗中模索の状況では、目標を定めることさえできません。

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