高等部:2月号学園長ブログ-5

2024年2月22日

5、発達障害があるお子様の学習意欲を上げるためには
 
知的には目立った問題がないこのような子どもたちが、勉強につまずく学年が小学校3年生くらいからなのは、教科書の内容にもありますが、国語の文章も含めて教科書に書かれている文章量や語彙も含めた文章の構成の複雑さが出てくるからです。他の教科も例外ではありません。

授業に関してもこのように「読む、書く」の困難さを持ち合わせている人や、講義形式で大勢の人に向かって話されている先生の話を聞くことの困難さを持ち合わせている人は、継次処理が求められる講義形式の授業の参加自体に苦手さがあるのです。物事を分かりやすく、聴覚的な手がかりや視覚的な手がかりを取り入れながら順序を踏まえて伝え、考え、理解に結び付けることで、それを応用した発展的な処理を可能にするクラスでの授業形式は継次処理的なアプローチと言えると思います。先述したようなつまずきを持った子どもたちには、学年が上がり授業レベルが上がると自分の力だけでは処理できなくなります。

そのことのSOSが落ち着きのなさや離席、おしゃべりなどの多動性、衝動性になって表れてきます。先生にそのSOSを授業妨害として厳しく注意されることで学習意欲を喪失していきます。発達障害傾向の子どもたちは一度失ったやる気は元に戻らないのです。そして、クラスに居場所を無くし、自己肯定感も低くなってしまいます。学習無気力の子どもたちや、情緒が混乱して不安を抱えている子どもたちの原因にはこのようなこともあるのです。子どもたちがやる気を出すには、このような見えない彼らのつまずきに気づき、学習におけるつまずきのある子どもの得意な「わかり方」を大人が把握することが大切だと思います。教える側の大人が、子どもたちの「なぜわからないか」が理解できれば、理解できるような教え方や教材、プリントなどを利用した授業を提供することができます。そのような指導が実行できれば、必ず興味を持って取り組むことができるようになるでしょう。そうしてできることが少しずつ増えていくはずです。子どもが学ぶ楽しさや達成感をたくさん経験することが大切になります。

そして最後は、親や教師が勉強を押し付けるのではなく、子どもが自分に合った「学び方」を身につけて自分の意志で主体的に学習する習慣をつけることが、子どもたちの学習意欲を上げる唯一の近道なのです。そしてこのことは、自分で判断し、自分の意志でやってはいけないことややるべき物事の善悪を判断できる大人に成長することへと繋がっていくのです。

お問い合わせはこちら