[高等部通信10月号]学園長より~可能性の扉~5

2020年11月12日

5.第12回自然学園 思いやり収穫祭のご案内

12回目となる自然学園の学園祭も、秋を彩る一大行事として定着してきました。今年の『思いやり収穫祭』のテーマは『生命(いのち)』にしました。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため自然学園では入学式も含めて予定の変更を行い、国や自治体の方針に従い休校の決定をしました。何よりお預かりしている生徒の命と健康を第一に考えた決断でした。憲法において義務とされている「勤労」「教育」を止めてまで守らなければいけないことが人類にはあるからです。それは一人ひとりの生命(いのち)のです。人の生命ほど大切なものはありません。教育は人の生命の大切さを教えるものです。

ネットいじめや書き込みを苦にして、自らの行為で大切な若い命が失われている現状があります。生まれてきたことに感謝し、その命は何よりも大切にしなければいけません。他者の生命(いのち)も同じことです。コロナ禍で生活に組み入れられたマスクの着用や手洗いは自分の感染を防ぐだけのものではありません。人に感染させないことが大きな目的です。それは新型コロナウイルスで一つでも大切な生命(いのち)が奪われることを防ぐための手段です。

在籍生の皆さんの一人ひとり異なった個性や能力的な凸凹、それぞれ異なった苦手さを持っている人たちがお互いに認め合い、それぞれの欠点を補い合うことで日ごろから目標としている『協力』『協働』が実践できたときに初めて皆さんはその場所に自分の居場所を感じるでしょう。お互いを慈しみ愛することは生命(いのち)を尊び、何よりもお互いを大切にすることです。

今年は、10月31日(土)のみの公開となりますが、当日は、受付で学園祭プログラムをお渡しいたします。各家庭2名までの制限はありますが、万障お繰り合わせの上、ご家族お揃いでご来校くださるようお願い申し上げます。
自然学園が開校してから14年目を迎え、高等部や大学部の就職においても卒業生の皆さんの頑張りで多くの人たちが社会に巣立つことができています。
今まで好評だった「思いやり収穫祭」の特別企画である卒業生特別座談会『僕たちの未来』はパネルディスカッション形式で自然学園を卒業したOB・OGに今現在の自分のこと、今、取り組んでいることや仕事のこと、職場での人間関係のことなどを話してもらった企画で自然学園の思い出や学校生活のことなどに触れながら人生のターニングポイントや自分自身のこれからの夢などについて語り合う企画でしたが、今年はコロナ禍において中止にさせていただきました。

それに代わって特別企画として『発達障害の子どもたちのキャリア教育』と『「読む・書く」「算数・数学」が苦手な子どもたちの理由と対策』をテーマにした講演会を実施したいと考えています。自然学園に関心を持っていただいている方々は、バンブー教室にお問い合わせがあった方だと2歳ぐらいの未就学のお子様方から、小学生、中学生まで。大学部のお問い合わせの方だと成人されている30歳ぐらいまでの大人の方まで非常に幅が広いのです。最近よくご相談を受けるテーマとしては将来の自立、就労を考えるうえで通常級、支援学級、支援学校、義務教育課程修了後の進路、高等学校や特別支援学校の職業科など様々な学年の分岐点で進路のお悩みを持っている保護者の方がとても多いと感じています。

就労をするうえでは特別支援学校の職業科しか進路はないのか、高等学校の特別支援教育はどこまでの支援をしてもらえるのか、卒業後に障害者雇用も含めた企業の就労にどこまで支援してくれるのか、実習先を紹介してもらえるのか、授業や学校生活でどこまでの配慮をしてもらえるのか、また将来的な就労を見据えて発達障害がある子どもたちが家庭でできることはあるのか、など保護者の方々の悩みは尽きないようです。

このようなご相談を背景に『発達障害の子どもたちのキャリア教育』を「学校におけるキャリア教育」「特別支援教育における就職指導の限界」「就職するために何を教えるべきか」「発達障害がある子供たちの就労の現状」など4つのテーマでお話しさせていただこうと考えています。

また最近のご相談の内容として学力不振などが原因で学校に居場所が感じられない、いじめを受けたなどで学校に行きたくない、授業に参加したくない背景に勉強がわからないことを訴えているケースが非常に多くなっています。そのほとんどは発達障害がある子どもたちの特性があり、認知の偏りや眼球運動、感覚統合の問題などの理由から「読む・書く」「算数・数学」の苦手さから不安が大きくなり、行き渋りや不登校につながっているケースを耳にすることが多くなってきました。そこで『「読む・書く」「算数・数学」が苦手な子どもたちの理由』を講演会の第二部のテーマとして用意しました。当日は「読む・書く」の苦手さについて、「算数障害」について、ワーキングメモリーについて、苦手を「できる」にする支援など4つのテーマでお話しさせていただきたいと考えています。

保護者の方はぜひ、12回目となる自然学園の文化祭『思いやり収穫祭』にお越しになって下さい。ご来場をお待ちしています。

10月31日(土)は、春日部市立八木崎小学校の体育館にて、午前9時45分より、全学部生による音楽祭を予定しております。新型コロナの感染の対策として、歌、合唱、管楽器等の演奏は事前に個別に録音した音源以外は不可とさせていただきました。飛沫のリスクが少ないダンス、手話、ハンドベルなどでの演出になります。小学部・中学部・高等部・大学部の在籍生によるクラス、および学部ごとに制限されたパフォーマンスを発表し合い、クラスごとのチームワーク、そして「人を愛すること、思いやること」の感情が「協調」「協働」の一つの表現として演出できるかが見どころとなるでしょう。他者をあまり意識することがなかった在籍生徒の皆さんが、クラスメートの動きをよく見ながら、自分の役割をしっかり務め、見ている人たちにクラスの思いが伝えられるように一生懸命演じる姿こそ、自然学園が教育目標に掲げるソーシャルスキルです。SSTの一環として取り組んでいる授業の実践をチームワークとして感じ取っていただければ嬉しいです。

高等部の生徒の皆さん、保護者の皆さんがご参加いただいくことで、学園祭が活気を帯び、学部の生徒たちの励みになることでしょう。ご理解・ご協力をお願い申し上げます。

11月1日(日)のおもいやり収穫祭2日目は模擬店を校舎内で開催します。自分たちにできる能力の範囲の中で、クラスのみんなでアイディアをだし、「おもてなし」の心で、来てくださるお客さんを楽しませるための工夫をして、今一生懸命その準備に取り掛かっています。

小学部の輪投げゲーム、中学部による和菓子屋や日本茶の販売などの甘味処、高校1年生によるジュースの販売等、高等部2年生によるライスバーガー、カップイン卓球ゲーム、詰め合わせのお菓子販売、高校3年生によるブタメン、ハンバーガー、アイス、みたらし団子等、射的、くじ引き、大学部によるコーヒー、紅茶、ラテ、ココア等のホットドリンク類の販売、マカロン、ワッフルの販売などおいしそうな屋台やゲーム等の出店の模擬店が目白押しです。今年は、新型コロナ感染防止の対策で、今までのような調理したものを販売する模擬店は中止させていただき、保護者公開、一般の方の公開もありません。ご理解、ご協力を宜しくお願いします。
生徒の皆さんが、コロナ禍での制限の中、工夫を凝らして実施する模擬店は今まで以上に皆さんのアイディア、話し合い、チームワークといった高いグループワークが求められるでしょう。だからこそ自然学園の生徒の皆さんの絆がさらに強いものになり、今までにない盛り上がりを見せてくれることと思います。お客さんがいないことは残念ですが、苦労を共に経験した今回の思いやり収穫祭は深く皆さんの胸に残る忘れられない思い出となることでしょう。

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