アセスメントの必要性について ~WISC-Ⅳの活用~

2014年2月27日

アセスメントとは、
「個人の状態像を理解し、
必要な支援を考えたり、
将来の行動を予測したり、
支援の成果を調べること」
と言われています。
つまり、児童生徒の特性や、
障害があることによって生じる
困難さを理解するとともに、
児童生徒がどのように生活しているか、
周囲の人とどのように関わっているのか
ということを考える必要があります。
子どもの行動や学習において、
その背景にある脳の働きや、
情報処理の特徴やメカニズムについて、
客観的に理解することができる検査の一つに、
WISCがあります。
現在では、WISC-Ⅲが改定され、
WISC-Ⅳになりました。
尺度や解釈に関して、
若干変更点はあるものの、
子どもの能力における、
苦手な部分と得意な部分を明らかにし、
今後の支援について
情報を提供してくれる点では
変わりません。
検査をすることで
障害が分かるわけでもなく、
得点が高ければ、
問題が減少するわけではありません。
検査をする目的は、
子どもの問題の原因について
探ることです。
そして、その問題について
補える長所を見つけることにあります。
検査後は、
その問題に対しての
対処の仕方が提案されます。
 
WISC-Ⅳでは、
WISC-Ⅲにあった
言語性IQ(VIQ)と
動作性IQ(PIQ)が廃止され、
より知能の因子を
厳密にとらえるために、
改善されました。
WISC-Ⅳには、
全検査IQ(FSIQ)のほか、
言語理解(VCI)・
知覚推理(PRI)・
ワーキングメモリー(WMI)・
処理速度(PSI)の
4つの群があり、
それぞれに
下位検査と呼ばれる
細かい検査があります。
言語理解…
  言語的な情報や、
  自分自身が持つ
  言語的な知識を
  状況に合わせて
  応用する能力 
知覚推理…
  視覚的な情報を取り込み、
  各部分を関連付けて
  全体としてまとめる能力
ワーキングメモリー…
  注意を持続させて、
  聴覚的な情報を
  正確に取り込み、
  記憶する能力
処理速度…
  視覚的な情報を
  事務的に、数多く、
  正確に処理していく能力
これらにより、
子どもの状態像を
よりとらえられるように
なりました。
それぞれのIQの値が
どれくらいかと
言うことだけでなく、
それぞれの値の差から、
子どもの持っている能力の
凸凹が明確になり、
子どもに見られる
特定の行動の理由や、
子どもにあった学習支援・
行動支援の方法が
分かるようになっています。
しかし、
検査をすることで、
子どものことが、
すべて分かるわけではありません。
検査を実施することで、
子どもの困り感に
共感できたり、
支援や指導のヒントを
見つけ出すことができる、
という視点をもつことが大事です。
また、
数値だけを見て
子どもを判断するのではなく、
実際の子どもの行動や
学習場面も視野に入れながら、
指導に役立てていくことが重要です。
       『高等部通信 おもいやり 第9号より』
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