中学部:中学部通信卒業記念号 学園長ブログ~可能性のとびら~-2
2026年3月20日
2,新学期に慌てないための準備
・・「小1プロブレム」「中1ギャップ」などの現象について
新中1に入学が決まっている生徒の皆さん、入学おめでとうございます。新2年生、3年生に進級する皆さん進級おめでとうございます。
「小1プロブレム」「中1ギャップ」と呼ばれている現象をご存じですか。「中1ギャップ」と言う言葉は聞きなれてきましたが、「小1プロブレム」と言う言葉は最近、耳にするようになりました。「小1プロブレム」とは、小学校に上がった子どもが小学校での生活に適応できず、精神的に不安になってしまったことで起こす行動のことです。「小1プロブレム」が起こる主な原因のひとつに生活の中心が遊びから勉強に変化し、勉強を中心とした定められた時間割に沿って行動することを求められます。小学校に入学したばかりの子どもも、親から学習成果を求められます。その結果、子どもは学習にプレッシャーやストレスを感じるようになることが挙げられています。集団行動がうまくできない状態や、授業を静かに受けられない状態が継続する現象で、小学校に入学した子どもたちが幼稚園、保育園との違いに適応できず、問題行動が続く状態を指しています。
中1ギャップとは小学校から中学校へ進学した際に、環境や学習内容の変化に適応できず、不登校やいじめなどの問題が起こる現象です。具体的には「集団が大きくなり、人間関係が複雑になる」「定期試験の結果が重要視されるようになり負担が増える」「学級担任制から教科担任制に変わる」といった様々な変化を要因としています。小学校から高等学校の各学年で中1が一番、不登校の多い学年であると言う統計が出ています。そして同じようなことは高校入学時にもあって、そのことを高1クライシスと言います。
高1クライシスは高校進学後の環境の変化に適応できず、不登校や退学に繋がる現象で高校1年次に集中しています。学力レベルの近い同級生に囲まれることで自分の得意分野がそれ程でもないと気づいて自信を喪失することなどが原因とされています。このことを認知発達に凸凹があるASDの傾向があるお子様に当てはめて考えてみると、その特性である初めての場所や慣れない環境、人間関係には元来適応しにくく、コミュニケーションの苦手さや人間関係を構築することに苦手さがあるので余計に不安や緊張が強くなるでしょう。通常級に在籍しているような知的な遅れが目立たないASDのお子様でADHDの特徴や(S)LDの特徴が目立っているお子様ほど入学した4月、5月でつまずいてしまうリスクが高いと思います。
小学校の学校生活では連絡帳に担任の先生が明日の持ち物を黒板に記入するので、板書を書き写す力がないと連絡帳を白紙で持ち帰ることになってしまいます。授業でも「ます目」からはみ出し、まだ「ひらがな」、「カタカナ」のかたちが上手く取れず筆記するのにとても時間がかかってしまうお子様もいます。教科書に書かれている要点のまとめを板書しながら、図やイラストに目を落とし、説明を聞いて理解を深めていく授業のスタイルではうまく先生の話を聞くことができないお子様も相当数いるでしょう。授業がわからなければADHDの特性である「不注意性」「多動性」が彼らの頭をもたげて「落ち着きのない動き」として衝動的に露呈してしまうでしょう。小さい時に抱く怒られたイメージは学年を超えても忘れることがなく「自信の無さ」「投げやりな態度」「無気力」を生み出し不登校など問題行動に結び付きます。
中1ギャップでは、通常級に在籍している生徒の具体的な例として「学力考査」の試験範囲に対応する教科者ワークの課題を宿題として提出することが義務づけられています。読む、書くに困難さがある生徒は宿題の提出が難しくなります。社会科などの教科では板書したノートを提出しなければなりません。彼らの特性が試験の結果に対する負担以上に精神的に追い込まれる負荷を入学と同時に背負わされることになるのです。高1クライシスは学力レベルに近い同級生に囲まれることで自分の得意分野がそれ程でもないと気づいて自信を喪失する現象です。状況としては、コミュニケーション力や社会性のつまずきがより露呈する環境に置かれることで精神的に追い込まれ、学力的にもまわりとの差を感じてしまことで通級を利用していた特別支援を必要としている生徒ほど感じてしまうギャップとなるでしょう。
発達障害(発達神経症)の傾向があるお子様は集中力がなく飽き易く、落ち着きがないので座学の学習が苦手です。先生の話も落ち着いて聞くことができず、授業がわからなくなりがちです。とくに読む、書くが苦手なお子様は勉強が大きな負担になります。このことが不登校に結びつくことも珍しくありません。学習を苦手としているお子様にとって、読む、書く、聞く、話す、算数(計算)、推論など日常生活においても不可欠ないずれかの能力の習得に困難さを生じていることで、授業を受けることや決められた学習課題を消化することができないのです。中学部では、一人ひとりのお子様に対してのアセスメントを重視して、一人ひとりの学習ニーズをふまえた学習支援を計画的に実施していることが特徴の一つです。勉強の苦手さから不登校を経験しているお子様は、学年が進級し、学力不振のきっかけを作らないために、はやい段階から小学校高学年と中1で習った基礎学力の定着が必要になります。3月26日からの春期講習での復習が、新学期からの授業に生きてきます。





